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群馬県立
敷島公園GUNMA PREFECTUAL SHIKISHIMA PARK
2013-02-26
敷島公園と水道タンク
敷島公園内の地下を流れる伏流水は、お隣の敷島浄水場で水道タンクに汲み上げられ前橋市内の水道として利用されている、と「お話」としては聞いていました。ですが、実際に敷島公園のどの辺から、どのように水は汲み上げられているのでしょうか。公園を維持管理する立場としてはなんとか知っておきたい。古い資料や明快に説明してくださる方を探し回りました。
今から57年前の昭和31年(1956)、群馬大学附属小学校が発行した教科書「前橋のうつりかわり」に「しき島公えんのあたり」と題する文章があり、ご覧のような図が載っています。
どうやら松林の下に管が埋め込まれて敷島浄水場の浄水池へ流れていっているらしい。
今でもこの管は使われているのか?何本埋まっているのか?いろいろな疑問が湧いてきました。そこで敷島公園のお隣にある前橋市水道資料館を訪ねてみました。ありました。この図にある管を埋設しようとしている写真を見つけました。
資料によると、「一直線の長さ351㍍、深さ9㍍から12㍍に集水埋管を埋め込む。埋管は、内径75.8㎝と90.9㎝の2種類で、管の長さが90.9㎝、一本当たり30個の小穴のある鉄筋コンクリート製だ。枕を置いて周囲は砂利で包む。この埋管方式は、設計者の中島鋭治が日本に初めて導入したものである。埋管の延長は、浄水場側に向かい緩やかな下りこう配となっていて、その両端と中央に人孔井(じんこうい)が設けられ、埋管の維持管理に使われる。これには高さ2.7㍍、屋根付き地上部がある。」
まさしくこの集水管のことを指しているようで、この1本だけが埋まっているとのことでした。 また、人孔井(じんこうい)の人孔というのはマンホールの意味らしく、敷島公園の場合、井戸の上に鉄蓋をして更に円柱状鉄筋コンクリート造りの上屋を建てたようです。
【前橋市水道資料館所蔵】
それではこの集水管は敷島公園のどのあたりに埋められたのでしょうか。水道資料館にあった図面によると現在の敷島浄水場の北西部分から管は外に出て、現在の第5駐車場の一番奥あたりからボート池の北端を通り、松林に一直線に続きます。途中にある人孔井を守る上屋は確かに松林の中にありました。
(下図は浄水場の平面図ですが、管は浄水場の西側から出て、図面左上の隅まで直線状(緑色)に延びています。)
【前橋市水道資料館所蔵】
前橋市の計画給水人口を8万人に想定した昭和初期の時代から、集水埋管一本で昭和31年まで市民に水を供給してきたということがわかりました。
現在、34万人の人口となった前橋市の水道供給元は52%が利根川から、48%は78本の井戸による地下水で賄われています。敷島公園の集水埋管一本からの供給割合は低くなってききましたが、今なお現役というのが驚きです。松林が広がる敷島公園は水源涵養としての役割を十分果たしているとも言えます。
《松林の中にある人孔井を守る上屋》
《配水塔(水道タンク):鋼鉄製 892㎥ 高さ約37.4m》
【参考文献】:「新まえばし風土記」(1987、加藤鶴男著)前橋観光協会発行
「前橋市の水道と敷島浄水場の概要」平成22年度 前橋市水道局上下水道部浄水課
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